インサイドセールスを導入する企業が増えてきた
近年インサイドセールスという営業手法が、企業の営業・マーケティング活動上パフォーマンスが高いと取り上げられることが多くなりました。ただ、その有効性が語られる一方で、現場レベルで使えるノウハウや実体験からなるナレッジ共有って案外公表されてないんですよね。
というわけでインサイドセールス経験10年の筆者の失敗と成功体験からなる、ちょっとしたコツをお伝えします。テレアポ営業に気苦労も絶えない営業さんはご覧ください。なお法人営業いわゆるBtoBで培った知見となることを予め補足します。
- インサイドセールスとは
- 第一歩はテレアポ
- テレアポで心がへし折れる理由とは
- 常に一定の結果を出す人の共通点
- 常に一定の結果を出す人の話し方
では、いってみましょう。
1.インサイドセールスとは
別の言い方で内勤営業とも言いますね。関連してフィールドセールス(外勤営業)もあります。簡単にいうと、社内のデスクに座って電話やWeb(パソコン)を使って仕事をするか、外回り営業か、の違いと考えればOKです。
ちなみにインサイドセールスの由来は、アメリカにあり。アメリカってめっちゃ広いですよね。あのメジャーリーガーたちも華やかな試合の裏で、各地への移動による疲弊との闘いがあるそうです。
要は、移動コストを考えて訪問せずに営業できるようにと生まれた手法。日本では、一般的に見込み顧客の精査やアポイント(商談)の獲得がインサイドセールスの主な役割とされています。前述したフィールドセールスと分業したり、組み合わせたりすることで効率的な営業活動を実現することができます。
2. 第一歩はテレアポ
営業さんなら言うまでもなく目指すは「契約(受注)」です。でも、いきなり契約が生まれることはなく、必ずそこには営業プロセスというものがあります。
大抵は以下のようなプロセスではないでしょうか。
①リスト作成
②電話
③アポイント獲得
④訪問
⑤商談・提案
⑥契約
ここで注目すべきは「③アポイント獲得」が無いことには契約は生まれないということ。
当然ながら電話無しにはアポイントもありません。つまり、契約のためには、いかにアポイントを獲得し商談チャンスを増やせるかがカギを握っているという事です。”テレアポ”と解釈した方がわかりやすいかもしれませんね。
営業って、どこか確率論の部分もある職業です。どんなに優れた営業マンでも100発100中で契約を取る人は多くありません。ですが、テレアポによって安定した商談数を創出できる人と、そうでない人とでは得られる結果に差が出るのは言うまでもありません。
あなたならどちらの人を目指しますか?
3. テレアポで心がへし折れる理由とは
テレアポは大事。頭でその必要性はわかるけど、やっぱりテレアポってキツいな・・・、そうネガディブなイメージを持つ人も多いかと思います。だって考えてみてください。会社に来て、1日の大半が電話しっぱなしですよ。
具体的には、次のようなネガティブなイメージが考えられます。
- 1日に何十回・何百回も電話しないといけない
- 受付嬢が担当者につないでくれない
- なんか居留守使われてるっぽい
- 「今忙しい」と冷たくあしらわれる
- 営業だとわかった途端、相手の態度が豹変
- ほとんど話していないのにガチャ切りされる
- もう電話するリストがない etc
あながちこれらは的外れじゃありません。実際にテレアポ(ましてや新規開拓のアウトバウンドなら尚更)現場ではよくある事ではないでしょうか。電話をした本人からすれば、仕事でかけたにすぎないのに、なぜか会ったこともない人から冷遇を受ける。しかも何度も。。普通の人ならやっぱりツラいし、心が折れるのも理解できます。
ただどうでしょうか?
本当にただツラいだけのものであれば、本来目指す仕事の結果も得られませんし、ましては「インサイドセールス導入で受注効率アップ!」とか「営業の業績がグンと上がった!」なんでポジティブな話題がここまで波及するでしょうか。
もちろんどんな商品・サービスを扱っているのか(商品力)の違いが、テレアポ活動の良し悪しに影響する面もあるかもしれません。ただ、どんな商品であっても、アポを獲得するために重要となる考え方や営業ロジック、またコミュニケーションスキルはあるんです。
4.常に一定の結果を出す人の共通点
あなたの会社や周囲にいつも必ず結果を出してる人っていませんか。
その人は、たまたまラッキーで結果が出てると思いますか?1回だけならまぐれと言われることもあるかもしれませんが、連日必ずアポイント獲得しているとしたら、そこにはロジカルな成功法則があると考えるべきです。
実は、常に一定の結果を出す人って共通点があります。
・マインドセットがうまい
心構えや気の持ちようの部分です。
例えば、
>仕事モードのスイッチを持っている人
>素の自分ではないもう一人の自分を設定できる人
>「何のために?」と目的を明確に行動できる人
などがこれにあたります。
・定量的に捉えることができる
自分の営業パフォーマンスを数字やデータで可視化することで改善できる人は優秀です。
例えば、何件電話して何件がアポ獲得に繋がったかというアポ率の算出や、1日の中でも電話がつながりやすいコアな時間帯を把握(不在率の軽減)などのデータがあることで営業効率を高めることができます。
実は筆者も性根は”感覚的”とか”適当”な部分が多分にあります。でもビジネス主体の会話って、実はその1つ1つが思った以上に理論的に構成されています。これらをわかっている人ほどブレずに結果を出している人が多いです。
・営業ロジックを熟知している
仮にアポイント獲得をミッションとするならば、営業の始まりが『興味付け』であることを理解し、考えられた発言や情報提供を行えることが重要。
これは営業ロジックの『アプローチ』という基本の部分です。何かの本で読んだことがありますが、人の行動原則って「人は結局のところ自分の思った通りに行動したい生き物」なんだそう。
言い換えると、自分の興味のある話なら聞くし、そうでなければ聞きたくない、それが人の本質なんです。大事なのはいかに相手に興味を持ってもらえるか、逆にこれさえ成功すれば、無理やり商品説明をするとか、ゴリゴリ押し売りするような営業トークは不要となります。
・コミュニケーションスキルが高い
営業ロジックを熟知したとしても、聞く力、理解する力、話す力をしっかり備えていないと効果は最大化しません。コミュニケーションスキルは日常会話でも鍛錬できるので、積極的に社内外の人たちと接触しておきましょう。
5.常に一定の結果を出す人の話し方
上述した1〜4だけでもパフォーマンスは発揮されますが、より精度を高める武器となるのが「話し方」です。特に顔が見えないテレアポとなれば、かなり重要な部分です。例えば、せっかく相手に興味を持ってもらえたのに、話し方が原因でその興味が半減してしまったり、アポイント獲得には至らなかった、なんて事が現場では起きるものです。
先に結論をお伝えすると、絶対に押さえるべき話し方のポイントは以下です。
①ゆっくり話す
②相づちを返す
③相手の話にかぶせない
④質問には端的に答え、そして黙る
そんな事かよ?って思った方こそ自分の話し方をふりかえってみてください。私の経験上、コミュニケーションスキルが高いなと感じる人でも、これを完璧に行える人って案外少ないものです。「完璧に」がポイントです。なぜ①〜④が必要なのか、その理由も添えます。
①ゆっくり話す
なぜ必要か?→「相手が聞き取りづらいから」です。
自分が話したい事だけをペラペラ押し込んだところで、相手側からすれば何て言われたかなんて分かりません。折角興味を引くワードがあっても相手が聞き取れなければ無意味となります。
②相づちを返す
なぜ必要か?→「一方的なトークを会話にするため」です。
そもそもこちら都合で電話をし、こちら都合で話しはじめるわけですから、まあ大前提として一方的ですよね。
ただ、不思議なことに相づちを徹底するだけで、この一方的さが緩和されるのです。必ず営業マンが話す要所要所で、相手は「はい」や「○○です」といったリアクションを口にしてくれると思いますが、この1つ1つに「はい」「ええ」「なるほど」「そうなんですね」などと、相づちを返す事がポイントです。
また、近い意味合いで相手のコメントに対して「すごいですね」や「本当ですか?それは良いことを聞きました」といった合いの手を入れる話法も同様の効果を生みます。返す相づちが「はい」だけの一辺倒にならないように注意しましょう。
③相手の話にかぶせない
なぜ必要か?→「相手に失礼だから」です。
よく相手がしゃべっている最中に言葉を被せて話してしまう人がいます。これは受け手の心象を悪くするだけなのでやめましょう。
④質問には端的に答え、そして黙る
なぜ必要か?→「興味を逃さないため」です。
質問がある事は大変良い事です。質問は相手の興味の表れ(サイン)です。よくやってしまうのが、1つの質問に対して、2つ3つと情報を返してしまう事です。良かれと思って、不要または過剰な返答をしてしまいがちですが、これはかえって相手の興味をそらす要因になってしまいます。1つを端的に返答したら、一度黙って追加の質問が来るかを待ちましょう。すると自然な会話が成立してくる事でしょう。
まとめ
インサイドセールスの初期段階では、いかにアポイント獲得できるかがチャンス創出につながります。1回のテレアポで相手と話せる時間は限られています。この短時間の中に、いかに相手の興味を引きつけるようなフレーズ(自分はキラートークなんて呼んでいました)を発するか、というアプローチがかなり重要です。が、それを生かすも殺すも話し方次第。
営業結果が落ち込んでいる時や不安定な時ほど、これらの話し方の基本に立ち返ってみましょう。案外改善の答えはちょっとした所にあると考え邁進していきましょう。
最後に、自分の話し方を向上させるための練習方法をいくつかご紹介します。
◎ 自分のトークを録音して聞いてみる(まずは己のレベルを知ろう)
◎ 調子がいい・結果が出ている時のトークを録音し聞き比べる事(スランプからの脱却)
◎ ロープレ(協力者がいれば2人で実践形式で。一人ならシャドーロープレでイメージアップ)
いい時・悪い時を感覚的に判断するのではなく、実際に1つ1つができているのかを客観的に確認し改善することが成功への近道となります。こういったことが習慣化している営業マンほどスランプに陥ることが少ないように思います。
ではでは、あなたのビジネスライフがより良いものになりますように。